金融情報機関(FIU)の業務負荷は、グローバルなサプライチェーンの複雑化、犯罪手法の巧妙化、そして拡大し続ける規制要件により、かつてないほど増大しています。2024年に金融機関から米国の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)へ提出された疑わしい取引報告(SAR)は470万件に達し、2023年の460万件をさらに上回りました。
こうした業務負荷の拡大に対処するため、手動で行っていた複数のデータベースからの情報収集作業を自動化し、FIUの調査効率を劇的に改善するソリューションの活用が進んでいます。自動化と先見的なスクリーニング手法を組み合わせることで、FIUは規制方針の変更やウォッチリストへの掲載に先駆けて、不正な活動の端緒を未然に把握することが可能になります。
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プロアクティブ・スクリーニングとは
報道や起訴情報を受けて行われる調査は今もなお不可欠なプロセスですが、業界をリードする先進的なFIUチームは、脅威が公に知れ渡る前の段階での先見的なアプローチを追求しています。これは、受け入れ時のデューデリジェンスや取引のモニタリングといった標準的な管理体制をベースとしつつ、制裁の回避、違法な薬物の原料の輸入、人身売買といった重大な犯罪を検知するためのプロアクティブな手法を組み合わせることを意味しています。
プロアクティブ・スクリーニングがもたらすメリット
プロアクティブ・スクリーニングは、詐欺や横領、偽造による直接的な金銭的損失を防ぐだけでなく、金融機関において以下のような役割も果たします。
- コンプライアンスと規制遵守の徹底: プロアクティブ・スクリーニングは、規制当局に対して十分なデューデリジェンスを行っていることを証明し、制裁金や法的リスクの回避に寄与します。また、新たな規制導入にも迅速に適応できるようになります。
- ブランド価値の保護: 積極的なリスク管理への取り組みを示すことで、ブランド価値を毀損するリスクを軽減できます。これにより、投資家や顧客、そして規制当局からの揺るぎない信頼を維持することが可能です。
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プロアクティブ・スクリーニングの活用例:制裁を回避するネットワークの特定
Sayariのアナリストは、数十台のスターリンク端末がウクライナ前線のロシア軍の手に渡っていたというウォール・ストリート・ジャーナルの報道を、独自の調査によって裏付けました。さらにアナリストたちは、デュアルユース品に対する輸出管理や制裁を回避する広大なネットワークも特定しました。ウクライナ軍に決定的な優位性をもたらすスターリンク端末は、使用が禁じられているにもかかわらず、紛争地域においてロシア軍によって使用されていたと報じられています。
Sayariは、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道で言及されていた「shopozz.ru」という企業を起点に調査を実施しました。アナリストがSayariグラフを活用して当該企業と関連する企業や取引関係を調査した結果、当初の報道では把握されていなかった6カ国、計16社におよぶ隠れたネットワークを新たに突き止めたのです。この包括的な分析は、Sayariグラフのような企業・貿易ネットワーク分析ツールが、集積回路(IC)等の米国の重要品目が香港などの第三国を経由してロシアへ迂回輸出される実態を、いかに迅速に可視化できるかを証明しています。
制裁回避の実態を解明する方法についてSayariのケーススタディの詳細はこちら
Sayariが実現する、FIUチームのためのプロアクティブ・スクリーニング
Sayariは、世界250カ国および地域、37.5億の企業におよぶ、市場最大級のリスク・インテリジェンス・データを提供しています。実質的支配者の特定から貿易の実態、規制情報までを網羅したデータセットによって、金融機関が「顧客は誰か」「どのような活動をしているか」「誰と取引をしているか」という背後にある相関関係を正確に把握することができます。
Sayariは取引開始時の標準的なデューデリジェンスだけでなく、潜在的なリスクを自ら特定するプロアクティブなスクリーニングまで、幅広い調査業務を支援します。新たに導入されたBIS 50%ルールの対象となる子会社のフラグデータやリアルタイムのネガティブニュースを含む、頻繁に更新されるリスクデータにより、FIUは規制当局の動向やアドバース・メディアを常に最優先で把握できるようになります。こうしたリスクデータとSayariが誇る網羅的な企業・貿易相関データを組み合わせることで、精査が必要なサプライヤーを含む背後のネットワークの全容を瞬時に浮き彫りにし、潜在的な脅威の早期発見を強力に後押しします。
Sayariのプラットフォームは、主要なデータベースを一箇所に統合しているため、複数のデータベースをそれぞれ横断するような膨大な労力と時間を要するマニュアル調査を行う必要がなくなります。中国やロシアといった情報の不透明な国や地域のデータに加え、翻訳サポート機能も備えており、国境を越えた円滑な調査を強力に支援します。
結論として、Sayariは企業データと貿易データを統合することで、FIUがSARで実用性の高いインテリジェンスを提供できるように支援します。証拠に裏打ちされた説得力のあるナラティブが可能になることで、法執行機関は確信を持って決断することができるようになります。
すでに判明しているネットワークに証拠となる情報が紐づけられたSARは、政府機関によって優先的に扱われるようになり、具体的な対応が行われる可能性が高まるのです。
FIUチームの能動的スクリーニングを加速させるための方法について、詳細はデモをご覧ください。