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米国国防権限法(NDAA)改正案:防衛関連企業への監視強化を提言

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米国国防総省(DoD)の年間予算と方針を定める「2026年度国防権限法(NDAA)」の改正案には、同省の業務を支える防衛関連企業への監視を強化する方針が盛り込まれました。

ベンダー審査と中央データベースの構築を求める改正案

7月、アイオワ州選出のジョニ・アーンスト上院議員は、米国の防衛サプライチェーンから中国共産党(CCP)の影響を排除するための新改正案「防衛関連企業の外国所有権評価(Assessment of Foreign Ownership Contractors)」を提案しました。同案は、中国共産党の世論工作や諜報活動を担う機関である「中央統一戦線工作部(UFWD)」などの外国勢力が仕掛ける悪質な情報工作や介入計画に対し、防衛関連企業が所属している、や何らかの関係性を有している、あるいは活動へ参画している」などの状況の有無について厳格に調査することを求めています。

本改正案は米国国防総省(DoD)に対して、防衛関連企業の信頼性を精査するための具体的な基準を、1年以内に正式に策定することを義務付けています。この期限内に対応できなかった場合、外国資本による関与や外部からの所有や支配(FOCI)に関するリスク評価を受けていない企業との間にある契約は、、元請け・下請けを問わず、すべて解除されることになります。

元米国空軍のインテリジェンス・アナリストは、「この改正案が出るまで、外国資本による所有や支配(FOCI)に関する評価や、それに対するデューデリジェンスを実施するための明確な手段は存在しませんでした。米国国防総省(DoD)は、その調査の大部分を企業の自己申告に頼り切っていたのです。”アーンスト議員の改正案”は、こうした外国からの所有や支配に関連するリスクを評価し、それに対処するための計画を策定することを、国防総省(DoD)の防衛関連企業に対して義務付けるものとなります」と述べています

アーンスト議員の改正案は、米国下院のNDAA草案にある規定を補完するものです。下院による草案では、秘密活動に関与する企業を管理するための「秘密活動ベンダー・データベース」の構築が義務付けられています。このデータベースは、秘密活動の重複や衝突を防ぐとともに、作戦上のリスクやスパイ活動にさらされる危険を抑え込むことを目的としています。そのため、当該条文では、米国国防総省(DoD)に対して「秘密活動を支援するすべての民間ベンダーをリスト化した、安全な一元的データベースを構築し、常に最新の状態に更新し続けること」を義務付けています。

米国下院および上院の軍事委員会は、それぞれ独自の2026年度NDAA法案をすでに可決しており、今後両委員会は議会での最終採決に向けて、双方の提案内容の相違点を調整し一本化する作業に入ります。

>関連資料:Sayariのデータが中国共産党とつながる研究者の国家安全保障リスクを特定する方法<

 

世界的に高まるベンダー監視の波

今回のNDAA改正案には、外国政府との繋がりを持つ防衛関連企業に対し、より厳しい監視を求める世界的な潮流が反映されています。これに対応するため、各企業はベンダーの自己申告を前提とした管理体制を見直し、関連企業の合法性について、より深く独立した検証プロセスを実装する必要があります。

企業は、ベンダー個々の実態を深く掘り下げるだけでなく、その背後に広がる関係性まで網羅的に把握することを求められています。サードパーティに起因するリスクは時に企業全体に想定外の甚大な影響を及ぼすことがあり、こうした懸念は世界中に広がる規制強化の動きにも反映されています。NDAAと同様に、欧州防衛産業プログラム(EDIP)および欧州防衛産業戦略(EDIS)においても、EU防衛産業の備えを強化しており、防衛装備品等の安定的な供給を維持することを目指しています。これらの規定に従わなかった場合、多額の罰金や契約停止、法的措置、さらには企業の社会的信用の失墜といった深刻な事態を招く恐れがあります。

サードパーティのリスク検証は、もはや企業にとって「取り組むことが望ましい努力目標」ではなく、今や規制遵守のために避けては通れない「不可欠な義務」となりつつあるのです。

Sayariを活用し、「ベンダーの自己申告」に依存しないリスク検証を実現する方法

Sayariが提供する包括的な企業データを活用することで、企業は外国資本の影響や支配に起因するリスクを即座に見極め、対処するための高度な分析が可能となります。Sayariは実質的支配者に関する深いインサイトや、制裁対象エンティティとの繋がりといった「レッドフラッグ」を可視化させることで、それがベンダーの自己申告の真偽を裏付ける確かな根拠となり、開示情報だけでは辿り着けない一歩踏み込んだ包括的なデューデリジェンス体制の構築を可能にするのです。

Sayariを活用した外国による不当な介入リスクの特定やベンダーの厳格な背景調査について、

詳細は、レポート『航空宇宙・防衛:ベンダー審査と認定の強化に向けた Sayari の活用』をご覧ください。

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